深く美しきシャガールブルー

ロシアの庶民的なユダヤ人家庭に生まれ、サンクトペテルブルグの美術学校で学び、パリで才能を開花させた画家、マルクシャガールは、色の魔術師と称された画家です。
妻ベラへ注がれた溢れんばかりの愛情を表現した、数々の作品に見られる赤、ピンク、黄色といった、情熱や優しさや歓喜を表現する色使いとともに、シャガールブルーと呼ばれる青のグラーデションには、思わず見とれてしまうような、美の力があります。
藍色がかった深い青、思わず引き込まれるような青の世界に、ぐいぐい引き込まれるような感覚に襲われてしまいます。
彼が手がけた、教会のステンドグラスを見てみれば、シャガールブルーの美しさに触れることができるでしょう。
シャンパンの生産地である、シャンパーニュ地方の中心に位置する、ランスの町にたたずむ、ノートルダム大聖堂の礼拝堂に、シャガールブルーの一大傑作といわれるステンドグラスがあります。
青い色の濃淡が作り出すシャガールブルーのグラデーションが、見る人の心の奥底まで浄化してしまうような、荘厳な作品に仕上がっています。
ロレーヌ地方のメッスにある大聖堂にもシャガールが手がけた、美しいステンドグラスが3枚あります。
旧約聖書をモチーフにし、両側をシャガールブルーで構成し、中心部を明るい色で飾っています。
ステンドグラスは渡仏して、現地へ足を運ばなければ鑑賞できませんが、シャガールブルーは彼の絵画にも沢山残されています。
優れたリトグラフ技術のおかげで、部屋に飾ったリトグラフを眺めながら、このシャガールブルーを味わうことが出来るのも嬉しいことです。