子どもの頃、家に「世界美術全集」みたいな本がありまして、それを何気なく見ていたので、絵画を見ることがなんとなく好きになりました。
詳しいことは分からないながらも、「この絵は好きだなー」とか、「これは何となく暗いなー」とか、ただ単に「明るい」「きれい」とか、それなりの感想を持って見ておりました。
今思えば、なんですけれども、昔からちょっと苦手だったのが、ミレーの「落穂拾い」みたいな労働系の絵ですか。
なんだか暗いというか、苦しそうな絵に見えたんですよ。
それとレンブラントとかの宗教画も、荘厳ではあるのですが、ちょっと重くて距離をおきたい感じでしたね。
どちらかといえばルノアールやモネに代表される、フランスの画家が好きですね。
昔も今も。
描かれている人がきれいでオシャレでしょう。
花や風景もですね。
そして一番好きなのは、マルクシャガールなんです。
シャガールはユダヤ人なのですが、パリで絵を学び、色彩の魔術師の異名をとる画家です。
その幻想的とも称される色使いといい、描かれる世界といい、絵の中に美しさを見ることができますし、そしてその絵を見ることによって、幸福感をもたらしてくれる画家の一人だと思うのです。
それもそのはず、彼の作品には、恋人たちや結婚式など、愛の成就を感じさせるモチーフが多いのですね。
聞くところによると、先に亡くなった愛妻ベラへの思いが、終生彼の心の中にあり、それが作品にも色濃く反映しているということです。
シャガールの絵を見ると穏やかな気持ちになれるのは、そんな作風によるものなのかもしれないと思っています。