幻想と神秘の画風で魅了し続けるシャガール

シャガールの画風は幻想と神秘に満ちています。
主要作品の多くは、生まれ故郷のロシアで体験した幼少時代の光景や、生涯を通じての伴侶となった妻との思い出に関連したものを、独自の想像力を用いて象徴的に描いたものになっています。
シャガールの生涯は波乱に満ちたものでした。
ユダヤ系の生まれであったことから、苦労を重ねることになり、フランスに渡った後、第二次世界大戦中は、ナチスの迫害から逃れるためアメリカに亡命していたこともありました。
そうした苦労をくぐりぬけてきただけに、平和や人間愛を重視する思いは強く、作品にもそれが濃厚に現れています。
シャガールは、青や濃い緑といった色合いを用いて、静かな落ち着いた夜の光景を幻想的に描きだし、子供時代のおとぎ話の絵本を思わせるような光景を現出させることを得意としました。
作品を目にすると、甘美な思い出を懐かしむかのような不思議な魅力に引き込まれ、絵を通じて不思議な夢の世界に惹き込まれていくような感動を覚えさせてくれます。